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4.議題(2)新しいADS及びADS−Bの適用について運用要件の検討
SICASPとADSPの作業が重複しているのではないかと言う疑問がでているそうである。ADSPはATMデータリンクの運用要件をまとめることをANCから命ぜられておりSICASPの作業と重複するものでなく補完するものであると考える。
今年の9月から始まる予定のNEAP(North Europe CNS/ATM Applicati? Project)についての報告があった。これはSTDMA(Self Organizi? Time Division Multiple A?ess)と言うスウェーデン提案のVHFデータリンクを用いてGPSで得た自機の位置情報を他機に知らせる方式によるものである。これにより;
a.ATCのためより良い監視方法を与え、
b.パイロットに交通状況を知らせ、
c.飛行のすべての段階でGPSによる精密航法が可能となるか、
を調査するものである。また、NEAN(North European ADS−B Network)計画は北部ヨーロッパで共通のADS−Bネットワークを作り、空、地上及び海上で供用しようとするものである。上記bについてSASのF28にLCD表示器を装備し飛行計画、飛行管理またADS−Bによる交通状況を表示する計画も報告された。しかし上記のSTDMAを用いる計画はすべてのヨーロッパ当局や空域利用者が賛成しているのではないことに留意した。
EUROCAE WG51が作業しているADS−Bについて報告があった。一つはRTCAADS−BMASPS(Mods−S利用)の検討であるが、VHF ADS−B MOPSの策定また交通状況表示/機上交通状況表示についても検討を行っている。これらについて運用要件を定めるのはADSPであるので指示を仰ぎたいとのことであった。
「ECAC空域における監視戦略」と題する論文について紹介があった。ECACのEATCH?P計画においてADSと共にADS−Bが監視方法として考えられていると言うものである。ヨーロッパの国々の集合体の複雑な関係を示す図が提出された。
ルフトハンザ社の提案したATMの将来像についての紹介もあった。空域の容量を継続的に増加してゆく必要があること;費用効果率のよい解決法であること;安全性が損なわれないことを基本として考えられた案である。ATMの責任を機上と地上で分担しようとするものである。大声で反対を表明した委員もいた。しかし責任の分担と言う考えはICAO FANS.AN CONFで採択されたものであり聞き流された。彼の意見は管制が指示し航空機はそれに従うべきと言う一方的なもので機上、地上のデータリンクをとおしての調整、最適経路の選択等々が無かったなら、地上システムの負担が倍増することが避けられないであろう。ADS−Bで航空機が自機の位置その他の情報をATM機関や他機に知らせることは現在のADSPの主流として定着している。かってはADS−Bを認めないと言う声が多かったが。
しかし、機上と地上のコンピューターだけのやりとりをパイロットが判断して実行し管制官は見ているだけと言うのではない。人間は何もせず見ているだけでは注意力が散漫になってしまうので、必ず管制官も判断をするループに入っていなければならない。ADS

 

 

 

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